教育課程

カリキュラム・ポリシー

本学位プログラムは、体育・スポーツ・健康・コーチングなどをキーワードとした、人間の身体と運動、その文化や環境、さらに心身の調整に関わる諸問題に対して学際的に取り組む。このため、基礎科学といわれる人文科学、社会科学、自然科学における、あるいは多くの学問分野(哲学、倫理学、歴史学、人類学、教育学、社会学、法学、経済学、経営学、心理学、物理学、工学、医学、化学、生物学、統計学)における専門知識や方法論を融合的に捉え、39もの複合的な研究領域がある。さらに各研究領域が連携をとりながら 6つの系列で履修モデルを提供し、体育学に関する汎用的知識・専門的知識・倫理観・研究力・実践力・指導力を養うために、専任教員を中心に全ての構成員が教育・研究指導に参画する。また、博士後期課程、主に体育科学学位プログラム(D)、スポーツ医学学位プログラム(D)、コーチング学学位プログラム(D)などとの教育・研究指導内容における接続も図る。

 

教育課程の編成方針

・本学位プログラムのディプロマ・ポリシーを担保するために、「専門科目」「専門基礎科目」「基礎科目」の3つの科目区分を設ける。各科目区分に対応した科目群として、「領域科目」、「系列科目、研究基礎科目」、「関連系列科目、大学院共通科目、学術院共通専門基盤科目」がある。

・高度専門職業人としての専門的知識と俯瞰力・指導力を身につけるため、また幅広い本学位プログラムの職域(人材需要)に対応するために、6つの系列として、1)スポーツ文化・経営政策、2)健康・スポーツ教育、3)ヘルスフィットネス、4)アスレティックコンディショニング、5)コーチング、6)ナショナルリーディングコーチ養成を設ける。

・「論文指導」は、39の複合的な研究領域(体育・スポーツ哲学、体育史・スポーツ人類学、スポーツ社会学、武道学、体育・スポーツ経営学、スポーツ政策学、スポーツ産業学、体育科教育学、アダプテッド体育・スポーツ学、体育心理学、健康教育学、環境保健学、運動生理学、運動生化学、運動栄養学、体力学、健康増進学、体育測定評価学、内科系スポーツ医学、外科系スポーツ医学、スポーツバイオメカニクス、応用解剖学、コーチング論・トレーニング学、スポーツ運動学、体操コーチング論、体操競技コーチング論、陸上競技コーチング論、水泳競技コーチング論、バレーボールコーチング論、バスケットボールコーチング論、ハンドボールコーチング論、サッカーコーチング論、ラグビーコーチング論、ラケットバットスポーツコーチング論、柔道コーチング論、剣道コーチング論、弓道コーチング論、野外運動論、舞踊論)で行う。

・領域科目により、専門的知識と研究者としての基礎力を身に付けさせる。

・系列科目により、高度専門職業人としての専門的知識と問題解決力・指導力を身に付けさせる。

・研究基礎科目の研究方法論により、体育学に関する各分野の基礎的素養や広い視野、倫理観、汎用的知識、基礎的研究方法などを身に付けさせる。また、大学院共通科目(特に国際性養成などの科目群)などに加え、Problem-based Learning 型ディスカッション重視の演習を通して、高度専門職業人や研究者としての理解力とコミュニケーション能力ならびに国際性を身に付けさせる。

・博士後期課程の学位プログラムとの教育・研究指導内容における円滑な接続を図るため、系列の1)~3)は主に体育科学学位プログラム(D)、系列の3)~4)は主にスポーツ医学学位プログラム(D)、系列の5)~6)は主にコーチング学学位プログラム(D)などの教育課程を視野にいれながら各系列科目を配置する。さらに博士後期課程進学希望者には、前期課程のうちに幅広い関連知識を取得するために「大学院共通科目、学術院共通専門基盤科目」の履修を推奨する。

・キャリアパス形成として、保健体育教員志望者には専修免許状を取得できる科目と体育センター開講の実技科目の履修を、企業・官庁などへの志望者およびコーチ志望者にはインターンシップや大学院共通科目(キャリアマネジメントなどの科目群)の履修を、ナショナルレベルのコーチ志望者には日本文化の説明やコーチングに要求される英語に特化した国際性科目の履修を推奨することで、現場のニーズに迅速にかつ的確に対応できる実践力を身に付けさせる。

 

修業年限

本学学則に基づき、標準修業年限は2年、在学年限は4年です。

 

学修の方法・プロセス

・「専門科目」(68単位)「専門基礎科目」(1323単位)「基礎科目」(06単位)の各科目群の指定範囲から合計30単位以上を修得する。

6つの系列から1つを選択し、特定の範囲の高度専門職業人に要求される知識と技能を身に付ける。

39研究領域のいずれかの研究領域に所属して修士論文を作成する。

 

学修成果の評価

・各演習、研究方法論において実施される段階的な達成項目が評価される科目を計30単位以上取得。

2年次の中間報告会に合格。

・修士論文の審査に合格。

・最終試験に合格。

 

履修上の特徴

各履修モデルには、学内外における社会現場での実習を通して高度な実践的経験・知識を得ることを目的としたインターンシップが開設されています。このインターンシップでは、当該研究科が定める条件の下で実習を行い、報告書等の提出に基づいて単位(最大3単位)が認定されます。

 

大学院設置基準第14条による教育方法特例の実施 (社会人特別選抜入学者対象)

  1. 修業年限大学院設置基準第14条による教育方法の特例(以下「14条特例」という)の適用期間は修業年限2年のうちの全期間とします。
  2. 履修方法と授業の実施方法

ア)14条特例を適応し、職業を有する学生に配慮した授業を開講します。

    イ)14条特例の対象学生は社会人特別選抜による学生とし、履修方法は上記に準じますが、14条対応として開設している所属分野
      の以下の領域科目を履修することができます。

  • 体育・スポーツ学分野
    「体育・スポーツ学特別演習」
  • 健康体力学分野
    「健康体力学特別演習」
  • コーチング学分野
    「コーチング学特別演習」

 

ディプロマ・ポリシー

ディプロマ・ポリシーに掲げる知識・能力 評価の観点 対応する主な学修
1. 知の活用力:高度な知識を社会に役立てる能力 研究等を通じて知を社会に役立てた(または役立てようとしている)か
② 幅広い知識に基づいて、専門分野以外でも問題を発見することができるか
各研究方法論、各領域別演習III、体育・スポーツ哲学、体育科学習指導論、トレーニング学、スポーツバイオメカニクス特講、体力学特講、健康・スポーツ科学のための統計学、中間報告会、修士論文作成、修論審査など

(説明)

体育・スポーツ哲学、体育科学習指導論、トレーニング学、スポーツバイオメカニクス特講、体力学特講は、全体での必修科目ではないが、各履修モデル(系列科目)で最も履修者が多い科目であり、全体でも各学年で100名(80%)を超える履修者がいる科目を例として上げた。

2. マネジメント能力:広い視野に立ち課題に的確に対応する能力 大きな課題に対して計画的に対応することができるか
② 複数の視点から問題を捉え、解決する能力はあるか
各種インターンシップ科目、スポーツリスクマネジメント論、競技マネジメント論、学校体育経営論、以下の内容から選択(学会発表、TA経験、課外活動等コーチ経験、地域スポーツ教室等指導経験)など

(説明)

「以下の内容から選択」は、職業人としての実務能力を育むために適切な修学内容を含んでおり、体育学学位プログラムでは、ほぼ全員の学生が2つ以上は実施している。

3. コミュニケーション能力:専門知識を的確に分かりやすく伝える能力 研究等を円滑に実施するために必要なコミュニケーションを十分に行うことができるか
② 研究内容や専門知識について,その分野だけでなく異分野の人にも的確かつわかりやすく説明することができるか
各種インターンシップ科目、種目別コーチング総合演習、各領域別演習III、中間報告会、修論審査、以下の内容から選択(学会発表、TA経験、課外活動等コーチ経験、地域スポーツ教室等指導経験など

(説明)

「以下の内容から選択」は、体育学学位プログラムでは、ほぼ全員の学生が2つ以上は実施している。

4. チームワーク力:チームとして協働し積極的に目標の達成に寄与する能力 チームとして協働し積極的に課題に取り組んだ経験はあるか
② 自分の研究以外のプロジェクト等の推進に何らかの貢献をしたか
各種インターンシップ科目、種目別コーチング総合演習、各領域別演習III、中間報告会、修論審査、以下の内容から選択(学会発表、TA経験、課外活動等コーチ経験、地域スポーツ教室等指導経験など

(説明)

「以下の内容から選択」は、体育学学位プログラムでは、ほぼ全員の学生が2つ以上は実施している。

5. 国際性:国際社会に貢献する意識 国際社会への貢献や国際的な活動に対する意識があるか
② 国際的な情報収集や行動に必要な語学力を有するか
国際スポーツ政策研究など

(説明)

上記の科目は、研究基礎科目に位置づけた英語で授業を行う科目で、必修ではないが本学位プログラムとして履修を推奨する科目である。

6. 研究力:体育・スポーツ・健康・コーチング分野における研究課題設定と研究計画を遂行するための基礎的な知識と技能 ① 研究課題を設定するための基礎的な知識を身につけたか
② 研究計画を遂行するための基礎的な技能を身につけたか
各研究方法論、各領域別演習III、健康・スポーツ科学のための統計学、中間報告会、修士論文作成、修論審査、学会発表など
7. 専門知識:体育・スポーツ・健康・コーチング分野における高度な専門知識 ① 体育・スポーツ・健康・コーチングに関する基礎的および専門的な知識を身に付けたか 体育・スポーツ哲学、スポーツ社会学、体育科学習指導論、アダプテッド・スポーツ教育論、トレーニング学、コーチング論、スポーツバイオメカニクス特講、スポーツ栄養学特講、体力学特講、体育測定評価学特講など

(説明)

上記の科目は、各履修モデル(系列科目)内で、ほぼ全員が履修する例として上げた。

8. 実践力:体育・スポーツ・健康・コーチング分野における専門知識の実践的な運用能力 ① 体育・スポーツ・健康・コーチングに関する専門知識を教育現場やコーチング現場において実践的に運用できるか 各種インターンシップ科目、種目別コーチング総合演習、各領域別演習III、以下の内容から選択(学会発表、TA経験、課外活動等コーチ経験、地域スポーツ教室等指導経験など

(説明)

「以下の内容から選択」は、体育学学位プログラムでは、ほぼ全員の学生が2つ以上は実施している。

9. 倫理観:体育・スポーツ・健康・コーチング分野の基礎的研究能力を有する人材または高度専門職業人にふさわしい倫理的知識と倫理観 基礎的研究能力を有する人材にふさわしい倫理的知識を持っているか。
② 高度専門職業人にふさわしい倫理観を持っているか
各研究方法論、各領域別演習III、ヘルスフィットネス橋渡し研究概論、アンチ・ドーピングなど

 

学位論文に関わる評価の基準

筑波大学大学院学則に規定された要件を充足した上で、学位論文が下記の評価項目について妥当と認められ、かつ、最終試験で合格と判定されること。

(審査体制)

 修士論文の審査等を実施するために設置する学位論文審査委員会は、主査1名と2名以上の副査で構成する。

1.主査は、当該学位プログラムにおける研究指導担当教員とする。

2.主査、副査は修士以上の学位を有する者とする。ただし、副査については修士以上の学位を有していない者を例外的に1名まで認めることができる。

3.副査は、学術院の構成員2名以上を含むものとし、必要がある場合は、当該学位プログラム教育会議が認めた学術院外の適任者を加えることができる。

4.学術院外の適任者の数は、本学術院選出の主査及び副査の数を上回らないものとする。

(評価項目)

1.関連分野の国内外の研究動向及び先行研究の把握に基づいて、体育学分野における当該研究の意義や位置づけが明確に述べられていること。

2.体育学分野の発展に寄与するオリジナルな研究成果が、修士論文に相応しい量含まれていること。

3.研究公正についての十分な知識に基づき、研究結果の信頼性が十分に検証されていること。

4.研究結果に対する考察が妥当であるとともに、結論が客観的な根拠に基づいていること。

5.研究の背景、目的、方法、結果、考察、結論等が、当該分野の修士論文に相応しい形式にまとめてあること。

 

専修免許取得に関わる履修規程

中学校教諭及び高等学校教諭の「保健体育」(一種免許状を取得していない場合は、体育専門学群の科目等履修生に在籍して履修し単位を修得することができます)、「保健」および「養護教諭」の一種免許状を取得している者が、それぞれの専修免許状を取得するためには、大学HPに載せてある大学院便覧の 「教科及び教科の指導法に関する科目」 のうちの体育学学位プログラムの表に指定されている科目を24単位以上取得することが必要です。 また、「保健体育」の専修免許状を一括申請する場合には、「体育科学習指導論」を、「保健」及び「養護教諭」の専修免許状を一括申請する場合には「学校健康教育論」並びに「保健社会学」の2科目を必ず修得しなければなりません。